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2012年1月20日 (金)

◆市民調査◆ 松林の簡易測量

砂丘に植えた松林の中には砂がたまっていないのか?という疑問をいだき、自分たちで調べてみました。

砂浜の砂は、波にゆられて動き回るだけでなく、乾けば風に吹かれて移動します。海から吹く風にうっかり乗ってしまうと、砂は砂丘や松林の中へ吹き寄せられ、砂浜を作っている波の手の届かないところに溜め込まれてしまいます。住吉海岸には、丈が低い草だけが生えていた砂丘に松が植林されてきました。砂浜では足りない砂が、この松林の中にたまっているのではないかと私たちは考え、松林の地面の高さが3年間で高くなるかどうかを簡易測量によって調べてみました。

基準点は、砂に埋もれたり流されたりして移動しないように、一ツ葉有料道路のアスファルトの歩道に決めました。そこから、水平線が見える場所では、地面に垂直に立てた2本の測量棒(センチ単位の目盛り)を使って数メートルごとの落差を測定していき、松の茂みの中などで水平線が利用できないときには、水平器をとりつけた測量棒も加えて落差を測定しました。

 

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    一ツ葉有料道路の斜面の落差を測る

 

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    水平器をつけた物差しで松林の中の落差を測る

 

Hamanosokuryo

    砂浜では海の水平線を使って落差を測る

 

三平方の定理を使って基点からの水平距離と落差を計算し、一ツ葉有料道路から波打ち際まで100メートルちょっとの浜の断面を描いてみると、3年間で浜が削られて崖が後退し、松が植えられた砂丘には、多いところで1メートル以上も砂が積もっていることがわかりました。3年間をおよそ1100日として、110センチの砂が積もったと考えると、1日あたりにすると1ミリ積もったにすぎません。砂が積もれば植物もすぐにその上に伸びていくので、毎日浜を見ていても気づかないかもしれません。しかし、失われたと言われる浜の砂は、砂丘や松林が、ちゃんと保管してくれていました。

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    住吉海岸の松林の中の砂の積もり具合

現在、この住吉海岸では、川からダンプカーで土砂を運んできて砂を補給するという「養浜」事業がおこなわれており、これから15年くらいかけて突堤という構造物を海へ突き出して、砂の動きを止めようという計画が進行中です。水の中の砂の動きを止める構造物を造って砂浜を保全しようということですが、内陸へも砂が失われているなら、陸の砂の動きも止めなければなりません。そのうち、緩傾斜護岸や赤江の人工リーフのように砂浜をコンクリートで覆うとか、海と陸の境目に風で吹かれた砂も止めるような高い壁を作るとかいうことになるのでしょうか。

砂浜は、砂が動くところにできるのです。砂が自由に動ける環境を作っていくのが、将来的には費用もかからず、いちばん合理的な砂浜保全なのではないでしょうか。とりあえずは、「侵食対策」ではなく、「砂浜保全対策」に名称を変えることから始めてみてはどうでしょうか。

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