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2010年2月

2010年2月23日 (火)

防波堤という岬に合わせて地形が変わる?

談義所ではおとなしくしているように心がけているのですが、シンポジウムで宮崎港批判の意見が出たことを受けて、私が日ごろから感じていたことを、第7回市民談義所で参加者の意見発表として5分間話しをさせてもらいました。

蚤の心臓なので、話す内容を逐一書いておいて読みました。その原稿を少し加工して、記事にします。

* * * 

一昨年から海岸勉強会、市民談義所と続いてきて、その中で港の問題は何度も取り上げられました。私は、港はすでにあるものとして将来の海岸をどうしていくかを議論する段階にきていると理解しているのですが、世間はまだそうではありません。

検討委員会でも、宮崎港の防波堤が原因で侵食が進むことを前提にして議論が進んでいます。ところが住民は、こうした議論の経緯を知らない人が大多数なので、どのような海岸がよいかと問われれば、港ができる前の砂浜という答えが返ってくるのは当たりまえです。そして時には港批判が出ます。港が宮崎の海岸の一部と認められていない証拠です。

港や防波堤が出来て付近の砂浜が侵食されるのは宮崎港に限ったことではありませんが、岬のように構造物が突き出たら、波は、その岬に合わせるように砂浜の形を作り変えます。港の周辺に住んでいる住民は、砂浜の形が変わるという現実を受け入れなければなりません。住吉から一ツ葉にかけての海岸では、それがまだ周知されていないのではないでしょうか。

国交省の事業は、砂浜から沖で行なわれるものなので、それより陸側を管轄する県が、防波堤のために陸が後退することを、もっと積極的に住民に知らせなければいけないと思います。一ツ瀬川までの砂浜をコンクリートで固めるのか、固めずに済むのか、こうして談義所を開いても議論が進みません。

では、本当に陸が後退するのでしょうか。宮崎には江戸時代から広い海岸林があるので、地形が内陸へ湾曲しても、構造物さえなければ、海との境には砂浜が残ります。

検討委員会の技術分科会では、地形変化モデルを作ってくれています。ある場所に突堤などの構造物を入れたら、どのように海岸線が変化するかを推定するための道具です。これを使えば、何もしなかったときに、海岸線がどこまで後退するのか、形がどのように変わるのかも推定できるはずです。

この地形変化モデルは、現在すでにあるコンクリート構造物は考慮していないので、一ツ葉の傾斜護岸がないと考えて、砂浜がどこまで後退するかも推定できます。一つ欠陥は、地盤沈下が考慮されていないことです。沈下速度は遅くなっていますが、住吉から一ツ瀬川にかけての地域だけ地面が沈み続けています。技術分科会では、地盤沈下の影響は取るに足らないだろうと発言した委員がいましたが、検討委員会委員長の佐藤慎司さんは、取るに足らないかどうかは調べてみないとわからないと意見を述べられていました。

まだ地形変化モデルは完成していないと私はとらえていますが、不完全でもいいので、このモデルを使って、何もしなければ、50年後にどのように地形が変わるのかを予測していただきたいと思います。海岸線が2mしか後退しないのと、100m後退するのとでは、議論の内容が全く違ってきます。大きく海岸線が後退するなら、間に合わせの構造物に巨額の税金を投じる意味はなくなるので、砂丘や海岸林の中にある有料道路、ホテル群、動物園、そして地盤沈下も巻き込んだ議論にしていかなければなりません。地域環境を大きく変えるのですから、砂浜よりもっと内陸部の整備が公共事業として行なわれることになるのだと思います。

宮崎港の防波堤という新しい岬に合わせて海岸が形を変えようとしているのは、人間には止められない自然の力です。宮崎港をそのまま維持するなら、新しい砂浜の形に人の生活を合わせていく覚悟が必要だと思います。

 * * *

この話を聞いた参加者のお一人が、会合のあとで、間違いを指摘くださいました。宮崎の防波堤は、単純に岬と言ってはいけないということです。本物の岬なら砂がたまるはずの位置に、港の航路があって浚渫しているからです。そこで考えました。「穴があいた岬」か、「砂を吸い込む岬」が適当だろうと思います。

 

 

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2010年2月16日 (火)

第2回 宮崎の海岸シンポジウム 報告

公共性とは何か。地元住民がうるおうとはどういうことなのか。砂浜保全のために何ができるのか。住民と行政はどのように連携していけるのか。海岸問題について、いろいろ考えさせられたシンポジウムでした。

201026日(土)

午後1時半開始 午後520分終了

宮崎市民プラザ 4階大会議室

◆宮崎海岸で行なわれている侵食対策 (要旨PDF)

  小澤盛生(国土交通省宮崎河川国道事務所海岸課

◆海岸工学の立場からみた宮崎の侵食対策(要旨PDF)

  村上啓介(宮崎大学工学部) 

◆青森県大畑町における森川海の保全と護岸撤去

                                    (要旨PDF)

  角本孝夫(NPOサステイナブルコミュニティ総合研究所

◆環境保全を必要とする地域に生活する人の権利

                  (要旨PDF)

  籠橋隆明(名古屋E&J法律事務所

◆総合討論「宮崎の海岸を保全するための第一歩は?」

 参加者は、講師とスタッフも含めて約70名。各講演のあとの質疑応答も総合討論も、演者・参加者から活発な意見が出ました。参加者にはアンケートに記入してもらいました。(集計結果PDF)

 海岸問題は、ゆっくりとした大きな自然の営みに人の生活をどのように合わせていくかを考えることなのだと思いました。人もゆったりと構えた方がうまく対処するアイディアが浮かぶかもしれません。

(このシンポジウムは、宮崎市市民活動支援補助金の助成で実施されました)

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