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2009年9月

2009年9月29日 (火)

公開勉強会 報告 

山幸彦のなげき 

-海の幸、山の幸はいずこに-

講師:山口正士先生

2009926日 

宮崎市民プラザ4階和室会議室

14:0017:00 参加者11

 長く沖縄で海洋生態学を研究なさってきた山口先生は、ハマグリが生息する小倉ヶ浜がある日向市の山中にお住まいです。ハマグリは、川が山から栄養を運んできた河口に多いと聞いていたので、ハマグリの話と一緒に森と川と海のつながりについても教えていただきたいとお願いしていました。山の幸シマサルナシについても調べていらっしゃるので、今回の勉強会では、シマサルナシを捜し求めて森を歩き回った時に見た山の実態と、海の幸ハマグリの生態、そして関係する海岸の問題についてお話しくださいました。以下は、ごく簡単にまとめた内容です。

 * * *

 シマサルナシの果実をご存知でしょうか。中国原産の野生種がニュージーランドで品種改良されて、日本のスーパーではキーウィとして売られています。シマサルナシの実はキーウィより小型ですが、糖度が高く、それはおいしいものだそうです。実物も持ってきてくださいましたが、まだ熟れていませんでした(残念!)。海外の業者が近縁のサルナシに目をつけて栽培し、東京でべビィキーウィと称して販売しています。日向ではシマサルナシを特産品に育てる地域プロジェクトが始まっています。木を伝って成長するツル植物で、株に雌雄があります。山口先生は、実がなっている株を見つけたらGPSで位置を記録しているそうです。11月頃に熟したら収穫にいくためです。サルの先を越さなければなりません。

 シマサルナシを求めて山を車で走り回わると、森林伐採などの山の問題が目につきます。拡大造林政策で広範囲にスギやヒノキといった儲かる木を植えたものの、木材価格が下がって手入れができなくなり、土壌が劣化して土砂崩れを起こした斜面がいたるところにあります。「水源林造成事業」という看板がある山の斜面全体が伐採されてハゲ山になっている写真も衝撃的でした。他にも、採算を考えずに山奥に作られた豪華設備のオートキャンプ場や、無数にある砂防ダムなど、お金をつぎ込む価値があるのかと思うような例を紹介してくださいました。こうした現状を変えていこうとする活動もあります。北川の河川漁業組合は、川の環境を守るために、流域の山林を借地して伐採されないようにしています。広島大学の中根周歩さんの「水源の森講義」では、なぜ人工林が問題なのかが解説され、広葉樹の森の有用性が説明されています。

 海の問題も根本は同じだそうです。チョウセンハマグリは、川の河口周辺の砂浜に生息します。貝殻の実物も持ってきてくださいました。つやつやと光沢があり、どっしりと重い大きな貝殻でした。身もおいしいし殻も利用できるので、大切な海産物の一つです。日本中の砂浜にいたけれど、漁獲できるところは今ではわずかです。消滅寸前になったのは、砂浜環境の改変が主たる原因です。

 チョウセンハマグリは、砂浜の少し深いところで産卵します。卵から孵化した幼生が2ミリくらいの稚貝(ちがい)に成長するのに1年かかりますが、この間、どこでどのような生活をしているのか、まだわかっていません。2ミリの稚貝は、砂浜の波打ちぎわで34センチくらいになるまで過ごし、また深いところ(バーの沖側)へ移動します。生き延びていくためには、砂浜の浅い部分と深い部分の両方が必要です。ところが、日本各地の海岸で海砂の採掘が行なわれました。砂は、なくなったところを埋めるように移動するので、あおりを受けて砂浜が縮小しました。また、経済の発展や漁業の効率化のために、河口や砂浜に港が建設され、若貝が育つ潮間帯が破壊されました。

 四国の土佐清水というところでは、地元の人たちがハマグリを大切な資源として守って地域おこしをしています。とり過ぎないように素もぐりでとり、禁漁も自発的に行ない、広い砂浜が維持されています。宮崎は、大淀川の砂にシラスが混じるという調査結果が幸いして、海砂の採取がされなかったという幸運に恵まれました。しかし、大淀川河口には港ができて周辺の砂浜侵食が進むため、今ではほとんどみかけません。かろうじて日向の小倉ヶ浜と金ヶ浜では、今でも漁獲があります。

 小倉ヶ浜のチョウセンハマグリは、他の地域に比べて貝殻が厚いという特徴があります。碁石の原料として重宝される理由です。資源保全のために茨城県から持ってきたハマグリが放流されていましたが、今のところは、殻の薄い貝に置き換わってはいないようです。ハマグリには、貝殻の「ちょうつがい」の部分に八の字型の模様があるものがあります。その形や有無で、貝殻が4種類に分けられます。山口先生は、その割合を日本各地の砂浜で調べ、地域によって割合が違うことをつきとめました。茨城県と小倉ヶ浜でも割合が違いますが、長年にわたって茨城県の貝を放流してきたのに、小倉ヶ浜の貝殻の模様の割合が変わっていないということです。

 少なくなってしまったチョウセンハマグリですが、まだ絶滅したわけではありません。これまで小倉ヶ浜で放流されてきた量と漁獲量を比べると、放流すれば漁獲量が増えるということもないようです。小倉ヶ浜の大切な資源であるハマグリを守っていくためには、ハマグリがどのような生活をしているのかをもっと詳しく調べ、どれくらい獲ってよいかを見極め、天敵の影響を調べ、放流もやめることが大切だそうです。

       * *

 あいだに休憩をはさんで合計2時間半くらいのお話を、たったこれだけにまとめてしまって申し訳ないという気持ちでいっぱいです。割愛した話題もたくさんありますが、ご容赦ください。

2009年9月10日 (木)

第4回市民談義所 参加報告+α

200997日(月)18:3021:30

佐土原町総合文化センター

 

内容

・ 談義所の役割、ルールなどの説明

・ 市民による意見発表 5

・ 対策の条件・配慮すべき事項(意見の追加・確認)

・ 本年度の養浜の検討状況

・ 海岸の利用を考える会(仮称)の状況

 

市民の意見発表は、一人5分で5名が、それぞれの海岸への思いを語られました。

・ 砂すき工法と植生回復による砂浜保全

・ 昔の砂浜の生活がなくなり塩害がひどくなった

・ 松林を後退させて砂丘を確保できないか

・ 砂がなくなって緊急性の高い区域から侵食対策を

・ マレーシアでの事例紹介

 

3番目の松林の後退についての提案は、西田岳司さんでした。富田浜にある美しい砂丘と砂浜を見て(下の写真)、浜に砂を供給する緩衝地帯である砂丘に松を植えてしまうと、砂は松林の中にたまる一方になり、台風などで波浪が来ても砂浜へ砂が戻らなくなるのではないかという内容でした。

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