佐土原・住吉海岸の侵食対策についての要請書提出
<佐土原・住吉海岸の侵食対策についての要請書>
国土交通省 九州地方整備局
宮崎河川国道事務所 所長 山本 巧 殿
私たちは、「ひむかの砂浜復元ネットワーク」と言い、宮崎の砂浜のあり方を考える市民のネットワークです。去る6月に貴職が開催された住民懇談会で、佐土原・住吉海岸の侵食対策についての概説を聴き、行政・市民共通の課題として対処したいという思いから、さしあたり、下記の事項を要請いたします。
<要請事項>
1 佐土原・住吉海岸の侵食対策として、ヘッドランド(T字型突堤)建設を前提とした予算要求はしないでください。
2 佐土原・住吉海岸の侵食問題を解決するために、市民と行政が協議するテーブルを設置してください。
<理由>
1 宮崎市の北部「佐土原・住吉海岸」は、幅100メートルもあった砂浜が近年著しく侵食され、かつての広大な美しい砂浜の景観や、多様な生物の棲みかが失われた現況にあります。その原因としては、貴職が懇談会で説明されたように、河川でのダム建設や砂利採取などによる土砂そのものの供給が減少したことと、加えて宮崎港とその突堤や一ツ瀬川河口の導流堤という人工構造物の建設が、著しく砂の動きのバランスを壊したからに他なりません。海岸侵食対策として各種護岸工事が実施さてきましたが、「佐土原・住吉海岸」は総体的に侵食が進むばかりです。提案されているヘッドランド(T字型突堤)も、突堤部分に砂はついても、突堤と突堤の中間部は侵食が進むと指摘されています。設置に関わってきた専門家さえも、その侵食防止効果や、砂浜が串刺しになるという景観面から、今では設置を疑問視しています。外海の荒い波から地域住民の生活を護るためには、広い砂浜が一番効果があるというのが関係者の共通認識です。かつての砂浜を復元するという、抜本的な侵食防止対策を講ずることが、今、最も必要な共通課題ではないでしょうか。
このような状況のもと、貴職が佐土原・住吉海岸の侵食対策に関して、ヘッドランド(T字型突堤)を前提とした予算を財務当局へ要求されることは、侵食対策の一方的な推進と受け取られても仕方ありません。市民との協議を重ね、合意を得た海岸侵食対策を施すことは、世界的な時流でもあります。
2 「佐土原・住吉海岸」の砂浜を復元させ、抜本的な侵食防止対策を講ずるためには、海岸工学や海洋物理学の分野からだけでなく、河川、山林、治山治水、生物学、生態学、景観などの分野も交えた検討が必要です。そして、行政、市民、研究者、技術者などから幅広く人知を集め、協議を重ねて合意を形成しなければなりません。そのための一歩として、市民と行政が直接協議できるテーブルを設置する必要があると考えます。
以上